NTT東日本はPtoP(ピア・ツー・ピア)技術を使った動画配信システムを開発した。製品名は「IPv4/v6対応P2Pライブ映像配信システム(仮称)」で、2003年秋までに出荷する予定である。

 IPv4/v6対応P2Pライブ映像配信システムは、5月20日から23日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている「ビジネスショウ TOKYO 2003」で初公開された。展示会場では4台の端末(ノード)を使い、MPEG-2形式の動画を6Mビット/秒で伝送・再生する様子を披露した。

 RealVideoやWindowsMediaなど現在普及している動画配信システムでは、多数の端末に動画を同時配信する場合、配信サーバー側の回線の容量を端末の数に応じて増やす必要がある。一方、PtoP技術を使うNTT東日本の製品では、端末間でパケツ・リレー式にデータをコピーして伝送するため、視聴者が増えても配信サーバー側の回線容量を増やさずに済むという利点がある。

 なおPtoPを使った同様の動画配信システムには、ビットメディアアンクルが開発した「シェアキャスト」、米ブルー・ファルコン・ネットワークスが開発した「BFN Live」などがある。これらの製品と異なり、NTT東日本の製品は、受信側のノードが常に2台のノードから並行して動画のストリームを受信し続け、品質の良い方を選んで再生する。このため動画が途切れにくいのが特徴だ。ただし、各ノードには受信に2本と送信に1本、合計で3本分の動画を流せる容量の回線が必要になる。

 展示会場での動画受信・再生には、1.8GHz動作のCeleron、512Mバイトのメモリーを搭載したデスクトップ・パソコンにMPEG2デコーダ・ボードを搭載したものを使った。対応する動画の形式はMPEG-2のみ。今回はIPv4を使ったが、発売までにIPv6にも対応する予定である。発売時の価格は、端末レンタル料込みで1台あたり月額4万円前後を予定している。

本間 純=日経コンピュータ