「システム障害が発生した場合、業務を迅速に再開しなければならない。そのため、システム運用担当者は業務を知らなければならない」と主張するのは、R/3などを利用したERP(統合業務)システムの運用サービスを提供する東洋ビジネスシステムサービスの中村尚志 理事 テクニカルダイレクターだ。

 障害が発生した時には、業務への影響を最小限に留めることが重要だ。「まず業務を迅速に復旧することを考える」と中村テクニカルダイレクター。「ところが、運用担当者はシステムを復旧することに意識が集中しがち。結果的に業務が滞る時間が長くなってしまう」(同)。

 運用担当者が業務を知っておくメリットは、障害対応に限らない。業務にいかに役立てるかという観点からシステム改善提案をすることもできる。そこで、東洋ビジネスシステムサービスはできるだけシステムの企画・開発の段階から運用担当者をプロジェクトに参加させるようにしている。「システムだけではなく、業務を理解したエンジニアを育てられる」と同社の内田直康取締役は語る。

 同社は、東洋ビジネスエンジニアリングの運用部隊が4月に分社したもの。「運用サービスのあり方を、これまでのシステムを無事に運用すればよいという考え方から、業務中心の視点でシステム活用策を提供するというものに変える」と内田取締役は意気込む。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)