組み込み用Webブラウザ大手のACCESSは、2004年初頭をメドに、携帯電話機で動作するPDF(Portable Document Format)文書の閲覧ソフトを出荷する。コンサートなどの電子チケットに使うことを想定しており、今後、携帯電話機メーカーと共に閲覧ソフトの開発にあたる。

 これは5月15日、アドビ システムズの製品発表会に出席したACCESSの社長兼CEO、荒川 亨氏が明らかにしたもの。同社は、4月に米アドビ システムズと組み込み用PDF閲覧ソフトの開発に向けた提携を発表している。荒川氏は今回初めて、その出荷時期と用途を明らかにした。

 PDFは、作成時のレイアウトを保ったまま文書を電子化し、ネット上で配付するためのファイル形式。作成時に暗号化すれば、第三者による文書の改ざんを防ぐことが可能である。こうした特徴に着目した大手企業が、既にPDFを使った携帯電話機向けの電子チケット配信の計画を進めている。

 ACCESSとアドビ システムズは同時期に、テレビ受像機で動作するPDF文書の閲覧ソフトも出荷する予定。電子新聞は、既に産経新聞などが専用ソフトを使ってパソコンのユーザー向けに提供している。荒川社長は「大画面の平面テレビの普及により、今後はテレビで新聞を閲覧するユーザーが増える」と話す。既に家電メーカーから引き合いが来ているという。

(本間 純=日経コンピュータ)