オープンウェーブシステムズは5月14日、携帯電話事業者向けの位置情報管理ツール「Openwave Location Studio バージョン2.0」を出荷した。携帯電話ユーザーの位置情報を、地図配信事業者などのコンテンツ・プロバイダや企業内の営業支援システムに対して配信するためのサーバー用ソフトウエアである。位置情報を提供する相手に応じてその精度を変えるといった「プライバシ保護機能」を搭載しているのが特徴だ。

 プライバシ保護機能を利用すると、時間や日付によって位置情報提供の可否を設定したり、位置情報を提供する相手に応じてその精度を変えたりできる。ユーザーは、携帯電話事業者またはコンテンツ・プロバイダのWebページにアクセスして、自らの位置情報の提供条件を設定する。

 例えば、以下のような設定が可能である。自らの危険を家族に知らせる緊急通報サービス向けにはGPSを使い、十数m程度の測位誤差で位置情報を提供する。一方、レストラン情報提供などのサービスには携帯電話の基地局が持つセルIDを使い、1k~3km程度の測位誤差で位置情報を提供する、といった具合だ。この機能により、企業が従業員の居場所を必要以上に追跡してプライバシを侵害するといった,位置情報システムの問題を防ぐ。

 オープンウェーブシステムズは携帯電話機向けWAPブラウザの大手メーカー、米オープンウェーブシステムズ社の日本法人。「Openwave Location Studio」のVersion 1は日本では提供しておらず、今回の製品が初めての日本向け製品となる。

 Openwave Location Studio バージョン2.0の出荷に併せて,他に2製品を出荷した。一つ目は携帯電話事業者やISP(インターネット・サービス・プロバイダ)向けの電子メール・サーバー・ソフトウエア「Openwave Email Mx Version 6.0」。二つ目は,携帯電話サービスで使うボイス・メール用サーバー・ソフトウエア「Openwave Voice MMS」である。音声の配信には,MMS(Multimedia Messaging Service)と呼ばれるコンテンツ記述方式を使う。MMSは、欧州などの携帯電話事業者が採用しており,日本でも一部の携帯電話事業者が採用を検討している方式である。

本間 純=日経コンピュータ