日本オラクルは5月14日、Linux事業に関する新戦略を発表した。今まで以上にLinux事業に注力し、顧客企業に基幹業務システムへの適用を促していくことを宣言した内容である。新宅正明社長は、「Linux事業の強化は、今年1月に発表した2006年までの中期事業計画の中でも重要施策の一つ。Linux市場におけるリーダー・シップを取りたい」、「現在、当社製品のうち5%しかないLinux版の出荷量を2006年までに20%まで伸ばしたい」と抱負を語る。
新戦略は具体的に、LinuxのOSサポートの開始、技術者教育体制の拡充、営業体制の一新などからなる。
日本オラクルは6月1日から、Linuxそのものの技術サポートを開始する。同社製のデータベース・ソフト、アプリケーション・サーバー、業務アプリケーションのLinux版購入者は、同社製品のサポート窓口で、製品についてだけでなくLinuxのOSに関する質問や、相談ができる。顧客企業が利用しているLinuxディストリビューションに不具合があった場合、必要があれば日本オラクル自らが修正プログラムを作り、配布する。サポートに関しては、各Linuxディストリビュータと連携を密に取る。対象となるLinuxディストリビューションはMIRACLE LINUX、Red Hat Linux、United Linux。
Linux版製品の営業体制も一新する。6月1日より、Linux関連製品のビジネスに関する専門組織「Linuxビジネス推進室」を設立し、顧客企業に導入を積極的に提案する。Linuxビジネス推進室の室長には、日本オラクル子会社であるミラクル・リナックスの藤城薫社長が就任する予定。さらに顧客企業などの技術者を養成するため、Linux版の同社製品についての研修講座を7月下旬に開設する。
Linuxを取り扱うパートナーとの協業体制を強化するために、日本オラクルが中心となり、「Unbreakable Linuxパートナー協議会」を本日付けで発足した。会の運営はパートナー企業が行う。パートナー企業は共同でLinux版オラクル製品の普及を促進し、定期的に製品の勉強会を開く。参加企業はNEC、NTTデータ、新日鉄ソリューションズ、デルコンピュータ、日本IBM、日立製作所、富士通など。
日本オラクル、ミラクル・リナックスの両社はこの戦略発表に合わせ、64ビット・プロセサであるItanium2向けの製品を発表した。両社の製品とも、出荷開始は6月23日。
ミラクル・リナックスは、Itanium2で動作するディストリビューション「MIRACLE LINUX 64bit Edition for Intel Itanium Processor Family」を出荷する。オープン価格だが、市場価格では10万円以下になる見通し。
日本オラクルは「Oracle9iDatabase Release 2 for Linux Intel Itanium」を出荷する。価格は「同Enterprise Edition」が、500万円/1プロセサ(もしくは、10万円/1指名ユーザー)。「同Standard Edition」が187万5000円/1プロセサ(もしくは、3万2000円/1指名ユーザー)。動作OSは上記のMIRACLE LINUX 64bit EditionとRed Hat Linux Advanced Serverである。