「24・・・あっ。数字は忘れてください」。ソフトバンクの孫正義社長は顔を紅潮させながら、慌てて言い直した。孫社長は同社が今後予定している高速度のADSLサービスについて説明しているうちに、思わず数字を漏らしてしまった。これにより、ソフトバンクが年内に24Mビット/秒のサービスを開始することがほぼ明らかになった。5月9日に同社が開催した、2003年3月期の決算説明会での一幕である。

 決算はブロードバンド事業の投資により、赤字となった。売上高が4068億円、経常損益で1098億円の赤字、当期損益が999億円の赤字だ。しかし、孫社長は「黒字にしようとすればいつでもできる体制が整った」と強気だ。「ネットワーク関連の設備はすでに調達済みなので、あとは投資を回収するのみ。予定では今年6月に損益分岐点を上回る」という。

(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)