富士通の山中氏 富士通は5月8日、米レッドハットと企業向けの大規模Linuxシステムに関して業務提携すると発表した。大規模システムでの用途を想定したIAサーバーで動作するLinuxを共同で開発したり、製品サポート体制を強化することが提携の主な内容となる。

 「当社におけるLinuxを搭載したIAサーバーの出荷台数は、年率22%の高い伸びを示している。今後この動きは加速し、Linuxを使ったミッション・クリティカルな大規模システムが増えてくる。今回レッドハットと提携することで、大規模システムでの利用に耐えられるLinuxの改善・強化が期待できる」。富士通プラットフォームビジネスグループの山中明エンタプライズシステム事業本部長代理(写真)は、提携の狙いをこう説明する。

 両社は今回の業務提携に基づき、大規模システムでの利用に耐えられるよう信頼性や可用性を高めたLinuxを共同で開発する。富士通とレッドハットの社員による共同開発チームを作り、レッドハットの拠点で開発を進める予定だ。開発チームの体制などはこれから両社で詰める。研究成果はLinuxのコミュニティに反映したうえで、レッドハットの製品「Red Hat Enterprise Linux」に反映させる予定だ。

レッドハットのトンプソン氏 山中本部長代理は、レッドハット側のメリットとして「当社が長年大規模システム開発を通して蓄積してきたノウハウを提供できる」点を挙げる。レッドハットのケビン・トンプソン上級副社長兼CFO(最高財務責任者、写真)は、「当社は、大規模なデータセンター向けの用途に利用できるLinuxを開発することを目指している。ノウハウを持つ富士通と組むことは当社としても非常に有益だ」と語る。

 富士通とレッドハットは業務提携を機に、製品のサポート体制も強化する。富士通の顧客企業でRed Hat Linuxを搭載するサーバーに不具合が発生した際、OSに問題があった場合などには、富士通から直接レッドハットの米国拠点へ連絡する体制を作る。富士通本体だけでなく、富士通の欧米の関連会社も含めたサポート体制を実現する予定。このほか、両社による共同マーケティングも計画している。

西村 崇=日経コンピュータ