中国電力の子会社で建設コンサルティング事業を手がける中電技術コンサルタントは、自然文検索エンジンを使ったナレッジ・マネジメント・システムを導入した。システム構築は昨年12月に完了し、新規案件の商談が多く始まる4月から本格的に活用を始めた。

 中電技術コンサルタントは過去に手がけた工事の設計や施工に関する文書、約18万件を、PDF、Excel、Wordなどの形式でデータベース(Oracle8i)や日本ドキュメンタムの文書管理ソフト(Documentum4i)などに保存してきた。

中電技術コンサルタントが運用を開始したナレッジ・マネジメント・システムの画面例 今回の新システムはアクセラテクノロジの自然文検索エンジン「eAccela BizSearch」を使って、これらの文書を横断的に検索できるようにしたもの。クライアント・ソフトはVisual Basicで独自開発した。情報化推進室の中村仁士部長は、「同様の業務を過去にどう処理したかを知りたい、という社内でのニーズに応えた」としている。

 全18万件の文書を検索対象とした場合でも、結果を表示するまで1秒程度しかかからない。検索結果と同時に、検索結果の文書に多く含まれる関連語を自動的に表示する機能もある。この情報を参考に絞り込み検索を繰り返すと、目的とする文書にたどり着ける仕組みになっている。

 この関連語表示機能を、同社は特定分野に関する社内の専門家を探し出すために活用する。一般に「ノウ・フー(Know-Who)」機能と呼ぶものだ。例えば、工事の種類と地名を入力すると、システムは社員名を関連語として表示する。

 これにより、検索しようとしていた工事案件に携わった経験が豊富な社員がわかる。「人の情報を得られれば、別の担当者が新しい仕事に取り組むときにアドバイスを請うことができる」(中村部長)。こうした検索を顧客との打ち合わせ前にしておくことで、提案型の営業がこれまで以上に可能になる、と期待する。

 中電技術コンサルタントの情報化推進室は今後、社内の電子データを、ドキュメンタムの文書管理ソフトが動くサーバーに一元化する計画。現在は業務上重要なファイルがファイル・サーバーやノーツ・サーバーなどに分散しており、信頼性やセキュリティの観点からも問題になっている。「最近は電子メールに重要な議事録が書かれていることも多いので、文書管理サーバーでの保存を勧めている」(中村部長)という。

 同社は、簡単な操作で重要なメールをノーツから文書管理サーバーへ転送できる機能も、独自に開発した。文書管理サーバーはディスクを三重化しているので確実に保存できる。アクセスを制限したり、記録することも可能だ。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)