NTTコミュニケーションズなどのITベンダーを中心とする8社は、ITの運用プロセスの標準化を推進する非営利団体「ITサービスマネジメントフォーラムジャパン(itSMF Japan)」を設立する。itSMFは1991年に英国で設立され、現在は米国、オランダ、デンマークなど10カ国以上に存在する。itSMF Japanはその日本での活動団体として、5月9日のitSMF国際役員会議で正式に認可を受ける予定だ。

 itSMFは、ITサービス・マネジメントの適切な手法を策定、推進するための会員制組織である。ここでのITサービスとは、企業情報システムやアウトソーシング・サービス、ネットワーク・インフラなどのこと。その品質の向上やコストの適正化を進めるためには、どのように計画・開発、提供、維持していくべきかをモデル化し、共有するのがitSMFの目的だ。itSMFは、セミナーやイベント、会報などで会員間のコミュニケーションを促進するほか、「ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)」と呼ぶ標準フレームワークを提供する。

 ITILでは、ITサービス運用中に発生する問題に関する管理、システムの構成やリソースの管理、変更が発生した場合の変更管理、予期せぬ問題が発生した場合の対処方法に関する継続性管理、キャパシティ管理、そして、ユーザーとサービス提供者との間でSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を結ぶ際の管理手法などについて規定している。

 今回、設立に合意したのは、ITベンダーであるNTTコミュニケーションズ、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通、マイクロソフトの6社と、コンサルティング会社であるプロシード、そして、ユーザー企業であるプロクター・アンド・ギャンブル・アジア・ピー・ティー・イーの計8社。現在はITベンダーが中心だが、プロシード 代表取締役の西野弘氏は、「各社が自社の顧客にitSMFへの参加を積極的に進めていくなどで、ユーザー企業会員を増やしていきたい」と語る。itSMF Japanは5月1日に東京都にNPO(非営利組織)申請を行い、7月9日の設立記念コンファレンスの開催とともに会員募集を開始する。会費は現在検討中。1年後には企業、団体、個人を合わせて200会員まで増やしたいという。

 itSMFの初代理事長には、NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長の富田修二氏が就任する予定で、副理事長や監事などは5月9日の国際役員会議で決定する。

小原 忍=日経コンピュータ