青森県のみちのく銀行はこのほど、5月5日に予定していた次期基幹系システムの稼働を7月21日に延期すると発表した。同行は延期の理由について、「事務手順に間違いが起こらないように、テストや操作訓練をいっそう強化するため」(広報部)と説明。「開発の遅れが原因ではない。新システムはすでに動かせる状態だ」(同)としている。

 みちのく銀行の次期基幹系システムは、同銀行と熊本県の肥後銀行、島根県の山陰合同銀行、それに3行のメイン・ベンダーである日立製作所の4社で共同開発している。共同化の範囲は勘定系や情報系、国際系など多岐にわたる。今年1月には、肥後銀行が先陣を切る形で共同システムを稼働。続いて今年5月に、みちのく銀行と山陰合同銀行が共同システムの利用を始める予定だった。

 みちのく銀行は、「銀行業務の信頼性確保には、システムの安定稼働だけでなく運用手順の徹底や操作の習熟度向上が不可欠」との判断から、テスト・研修期間の延長を最終的に決断したと見られる。同行では昨年6月、人為的ミスによる「二重送金」や「二重引き落とし」のトラブルが発生した。ただ、稼働1カ月前になって稼働の延期を発表した理由は、明らかにしていない。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)