「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業は、これから3年で急成長します」。こう話すのは、三菱総合研究所の佐野紳也 主席研究員情報環境研究本部情報通信政策部長。ネットバブルの崩壊した現在、佐野部長の言葉は意外にも思えるが、同氏はその理由についてこう説明する。

 「まずここ1年でADSLなどの安価なインターネットの常時接続が一気に広がった。数年前にASPが登場したときは、ERPパッケージなどの汎用的で、あまりASPに向いていない製品をASP化していた。しかし、最近では業種・業務に特化したASPが増えてきた。こういったサービスに対するニーズは高い。技術の変化はますます激しくなっている中で、中堅・中小企業が自前でシステムを開発・運用するのはどんどん難しくなっている」(同氏)と話す。

 佐野部長は、今年3月に「デジタル情報流通市場の中期予測」についての調査結果をまとめたばかり。ASP事業の市場については、2002年度に130億円だったものが2005年度には1103億円に達すると見ている。

 同調査によれば2002年度の日本のデジタル情報流通市場は総額で9兆207億円。2005年には14兆円に達するという。IP電話も企業分野で大きな伸びが見込まれている。2002年度の市場規模は447億円にすぎないが、2005年度には現在の約3倍の1334億円にまで成長すると、三菱総研では予測している。

 三菱総研は、今後も毎年デジタル情報流通市場についての調査を継続する方針だ。佐野部長は、「変化の激しい市場なので1年ごとに動向をチェックしていきたい」という。

(中村 建助=日経コンピュータ)