ワークスアプリケーションズの牧野CEO 「独SAPは素晴らしい会社だと思うし、同社のERPパッケージ(統合業務パッケージ)は驚がくするほどの機能があり、素晴らしいソフトだと思う。ただし、驚くほど日本企業に合っていない」。大企業向け人事・給与パッケージ「COMPANY」の開発・販売元であるワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO(最高経営責任者・写真)はこのように指摘する。

 「パッケージ・ソフトを利用したいと思っても、大企業向けのパッケージはSAPをはじめとする外資系ベンダーのものしかなかった。情報システムのROI(投資対効果)を追及したいと思っても、それを実行するための道具がなかったわけだ」と牧野CEOは続ける。「日本の大企業はこれまで、情報システムに対するROIを考えるという姿勢が概してあまりなかったように思う。今まで情報システムによる利便性の追求に気を取られていて、そのシステムにかかるコストを見逃していたのではないか。だが大企業も今は苦しい。情報システムのROIを見直すべき時期にきている」。

 「欧米ではSAPのERPパッケージを導入する際、ほとんどカスタマイズをしない。SAPは欧米企業のニーズをもとにERPパッケージを作ったからだ。欧米の企業にとってSAPのERPパッケージの機能は90%以上の網羅性があるだろう。しかし、日本は欧米と文化も歴史も違う。カスタマイズなしで導入することは不可能だ。だがパッケージ・ソフトを利用する場合、カスタマイズをした時点でパッケージは『はく製』になってしまう。それではパッケージを利用する意味がない」。

 「当社は日本の大企業向けパッケージ・ソフトを出荷することで、情報システムのROIの向上を目指す企業に貢献できると思っている」と牧野CEOは自信をみせる。「当社のCOMPANYは、カスタマイズなしで導入することが前提だ。当社はユーザーのニーズをくみ取り、バージョンアップのたびに機能を追加することで対処している。バージョンアップは年3回行う。ユーザーのニーズを単に聞くだけではなく、顧客間のシステムの整合性や、コスト・メリットを考えて機能を追加する。当社の顧客とも十分話し合う。これは、SAPが欧米で実施しているビジネス・モデルと同じだ」。

島田 優子=日経コンピュータ