ネオテリスのコールリCEO 「ネットワークを利用する必要がある人に、必要がある時にだけアクセス権を与えることができる。その際に、クライアント側のユーザーは接続先のIPアドレスなどを設定する必要はない」。通信機器メーカーの米ネオテリスでCEO(最高経営責任者)を務めるクリシュナ・“キトゥ”・コールリ氏(写真)は、同社が4月7日に販売を開始したVPN(実質的な専用線網)装置の新製品「Neoteris Accessシリーズ」に関してこう説明する。

 VPN装置は企業が拠点間のインターネットVPNを構築する際などに利用する。Neoteris Accessは、暗号化技術にSSL(セキュア・ソケット・レイヤー)を採用している点が特徴。SSLを採用したVPN装置は世界的に見てもまだ少ない。

 Neoteris AccessのようなSSLを採用したVPN装置を使うと、接続先の企業や社員などのクライアント側で、接続先サーバーのIPアドレスや暗号化方式、プロトコルなどを設定する必要がなくなる。このため、ネットワーク業界で注目を集めている。現在主流である暗号化技術にIPSecを使ったVPN装置では、導入時やネットワークの変更、クライアントOSのバージョン・アップなどの際にクライアントを設定しなければならないことが多い。

 Neoteris Accessを使うと、社員が外出先から社内ネットワークにアクセスする場合でも、各社員のパソコンの導入・変更に伴う設定をしなくても済む。このため、管理者はサポートの手間を削減できる。コールリCEOは、「システムやネットワークを変更する場合でも、接続先の端末の設定をいちいち変える必要が無いので、拡張性に優れる」点を強調する。

 リモート・アクセスとしての利用だけでなく、取引先とのネットワークを構築する際も効果を発揮する。例えば、取引先に自社システムのデータの一部を提供したい場合、Neoteris Accessを使えば、取引先に設定の手間をかけることなく利用してもらうことができる。契約が完了し、接続する必要がなくなったといった場合も、相手先に面倒をかけずに済む。

 従来型のインターネットVPNを使う場合は、相手先に設定してもらう必要があることに加えて、契約完了後も同様の手間がかかるという問題がある。取り引きの期間が短いのにその取引先企業と専用のネットワークを構築するのでは、コストに見合わない。

 SSLは通常、Webアクセスに使うHTTPプロトコルしか使えないことが多い。Neoteris Accessでは、クライアント側に必要な設定や、通信プロトコルを変換する機能を持ったJavaプログラムをクライアント・パソコンにダウンロードして使用する。これにより、クライアント側のユーザーは設定の手間を欠けることなく、電子メールやファイル共有、各種アプリケーションなどが利用できる。

 価格は、50ユーザーで250万円から。高千穂交易マクニカを通じて販売する。コールリCEOは、「1年以内に日本での代理店を4、5社に増やしたい」と語る。

鈴木 孝知=日経コンピュータ