日本オラクルの三沢執行役員 日本オラクルは今年6月をメドに中国へ進出する。上海に駐在員を置き、現地に進出した日系企業に対する販売・導入支援をする。中国事業開発部長を務める三沢智光執行役員に狙いを聞いた。

――なぜ日本オラクルが中国に進出するのか。
 「現地の日系企業の顧客満足度を向上するのが目的だ。中国には日系企業が多数進出しており、今後の事業拡張のポテンシャルが大きい。これまでは日系企業に対する製品導入、サポートは米オラクルの中国法人である中国オラクルが担当していたが、言葉の問題もあり、日系企業が求める品質のサービスを提供し切れない場合があった。そこで顧客に対するフロントに日本オラクルが立ち、自社製品のサポートを充実させる」。

――上海事務所の陣容は。
 「2002年秋から営業部門の社員1人を上海に常駐させている。6月の開設に合わせ、営業、技術合わせて7~8人体制とする。これで10社前後の日系企業をカバーできると見ている。すでに比較的規模の大きい日系企業の顧客も、いくつか決まっている。潜在的な顧客は200社ぐらいいるだろう。前述の10社をカバーする一方で、他の顧客に対するサービスも展開する」。

 「とは言え、将来顧客が200社という規模に拡大した場合、自社だけでサービスを提供することはできない。現地のパートナ企業が必要になる。現在、日本国内の複数のパートナ企業に対し、中国でのサービスを共同展開しようと話をしている。現地企業とのパートナ契約も将来は検討する」。

 「上海拠点のカバー地域は、香港、台湾を含むグレーター・チャイナ全体。台湾には他社の参考になるシステムを構築している顧客が多いし、香港は金融関連の実績が豊富だ。当初2年程度は事業規模が大きくならないと思うが、その間にサポートの仕組みを作れればいい」

――中国オラクルとの関係は。
 「導入支援やサポートは中国オラクルと協力しながら実施する。日本オラクルの社員がお客様と話し合い、そこで出てきた要望や問題点を中国オラクルの社員に伝える。中国オラクルの担当者が実際の作業に当たることもある。現地の日系企業からの売り上げは、ワールドワイドのルールに従って日本オラクルと中国オラクルが配分することになるだろう。メンテナンス関連の売り上げは、中国オラクルのものになる」。

 「駐在事務所は中国オラクルの上海営業所に間借りし、スタッフも実質的には出向する形となる。中国オラクルの社員とは英語でコミュニケーションする。日本から派遣する社員もなるべく中国語を話せる人を選ぶ。顧客を日本オラクルと中国オラクルで取り合うようなことはない」。

(聞き手は金子 寛人=日経コンピュータ