NECの金杉新社長 「数年前からNEC社員の意識調査をしているが、『マジメで安定志向』という結果が出ていた。言い換えると、NECの社員が挑戦的でない、貪欲でないとも言える。これはずっと変わらなかった。今回の組織再編で、個人主義でチャレンジ精神をもった燃える集団にしていく」。NECの金杉明信 新代表取締役社長が就任初日の3月28日、2003年4月からの新組織体制に向けた決意を語った。

 NECは4月から、従来の企業内カンパニーであるNECネットワークスとNECソリューションズを統合し、9つの事業ラインに分けたフラットな組織体制に再編する(3月11日付けで発表済み)。さらに全社プロジェクトとして、その9つの事業ラインに横串を刺す形で、「SCM革新の推進」や「購買コストの削減」、「人事革新」などのチームを結成する。MIM(Management Innovation Matrix)チームと名付け、若手社員も含めた組織横断的な活動を実現する考えだ。「(ゴーン社長が改革にあたって設置した)日産のCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)を参考にした」(金杉社長)という。

 新体制では、9つの事業ラインのそれぞれに損益責任を持たせながらも、「9つのラインとトップ・マネジメントが喧喧諤諤の議論を行って、シナジー(相乗)効果を出していく」(金杉社長)。詳細な利益目標については明言を避けたが、株主資本は2002年度、業績は2003年度を底としてV字回復を果たし、2003年度は前年度の約2倍の2000億円の営業利益を目指すという。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)