光学機器・部品製造のチノンテックが、中国の新工場2カ所の基幹系システムを、バーン ジャパン製ERPパッケージ(統合業務パッケージ)「iBaanERP」で構築したことを公表した。2工場とも約4カ月間という短期間でBaanERPを導入したことが特徴。BaanERPが備える生産管理、購買、販売、物流、会計といったほぼすべての機能を利用している。チノンテックは液晶プロジェクター用部品を組み立てる工場を、2001年10月と2002年8月に中国に建設。工場の立ち上げと同時に、それぞれ基幹系システムを稼働させた。

 ERPパッケージを導入した理由について、チノンテックの木下昭システムコンサルティング部長は「短期間で導入しなくてはならず、パッケージを導入することが得策と考えた」という。同社が2001年10月に中国工場第1号を設立することを正式に決めたのは2001年4月と、立ち上げ半年前のことだった。システム部門として「6カ月間という期間で基幹系システムを構築するには、自社開発では間に合わない」(木下部長)と判断した。

 チノンテックの国内工場で動いている基幹系システムを中国工場に横展開するという方法もあったが、「自社開発した国内システムを中国の商慣習に適合するように修整することは難しい」(木下部長)と判断した。国内工場の基幹系システムはNECメインフレーム(ACOS)で動いており、「国内のシステムを中国現地に横展開するとなると、現地にACOSの運用担当者が必要になる。その確保も難しいし、コストもかさむ」(同)と考えた。

 チノンテックは合計4種類のERPパッケージをコンペにかけ、バーン製品を選択した。木下部長は「製造業での稼働実績が最も多い点を評価した」。同社は短期導入のため、基本的にBaanERPの標準機能を利用し、「アドオン・ソフトの作り込みを最小限に抑えた」(木下部長)。外付けしたアドオン・ソフトは、機能別でカウントして30本程度にした。

 短期導入したERPシステムは「トラブルなく稼働している」(木下部長)。今回短期導入できたのは、「新設した工場への導入ということで、既存の業務プロセスもなく、業務要件固めがスムーズに進んだからだ」(同)。さらに「業務プロセスが規定されている国内工場へパッケージを導入するとなると、現場の抵抗も大きくこうはいかないだろう」と続ける。

 現在同社は、国内の基幹系システムについても再構築を検討している。「10数年前に自社開発したシステムは、老朽化が進んでいる。例えば在庫データは実在庫の状況と乖離しており、在庫管理精度は、中国工場の新システムに比べて劣っている」(木下部長)。国内の基幹系システム再構築の手段として、バーン製ERPパッケージが有力候補になっている。

(戸川 尚樹=日経コンピュータ)