日本IBMの橋本取締役 日本IBMは3月19日から、Linux専用メインフレームの新製品「IBM eServer zSeries 800 Linuxモデル(z800 Linux)」を出荷した。既存のz800でLinuxを動作させるのに比べて、「半額以下」(日本IBM)に価格を設定した。プロセサ1個、主記憶8Gバイトの最小構成で3700万円からである。日本IBMがzSeriesの価格を公表するのは、今回が初めて。上位機z900のLinux専用モデルも同日、出荷を開始したが、こちらの価格は公表していない。

 今回の新製品ではTurbolinuxとRed Hat Linuxが動作する。「z/OS」や「z/OS.e」といったメインフレーム専用OSは動かせない。日本IBMは昨年3月の出荷開始時から「z800」にLinux専用モデルを用意していたが、ユーザーが希望すれば入手できる“特注品”扱いだった。今回の正式モデルへの“昇格”と戦略的な価格設定の公表により、同社はLinux専用メインフレームの販売に弾みをつけたい考え。

 日本IBMのハードウエア事業を統括する橋本孝之取締役(写真)は、「同機能のUNIXサーバーと同程度の値段で、メインフレームの信頼性を提供できる」と今回の新製品を売り込む。「ターゲットは他社製のUNIXサーバーを使っているユーザー。z800 Linuxを使って、メインフレームやUNIXサーバーが混在するシステムを統合し、TCOを削減する提案をしていく」と続ける。日本IBMは昨年11月、他社製UNIX向けアプリケーションのLinuxやAIXへの移植を支援する検証施設を開設済み。橋本取締役は、他社製サーバーからのリプレース商談を手がける「クロスソリューション事業部」の陣容を今後増強していく方針も明らかにした。

鈴木 孝知=日経コンピュータ