5年以上にわたって増加し続けてきた政府のIT関連予算が、2003年度には一転してマイナスに転じることが明らかになった。内閣府の内閣官房情報通信技術(IT)担当室の調査で明らかになったもの。同室の調査によれば、2002年度の政府のIT関連予算の合計1兆5761億円(3月に独立した日本郵政公社の部分を除く)だったが、2003年度予算での合計額は1兆5358億円で、前年度比マイナス2.6%となった。

 IT担当室によれば、「昨年に比べて大きく減少したのは、IT関連の雇用や広報関連、社会保険オンラインシステム関連の経費など公共分野における情報通信技術の活用に関する部分」だという。2003年度の国家予算全体が緊縮型だったことが、IT関連予算にも影響した。ここ数年のIT関連予算の増額で情報化が一巡したことや、2002年度の補正予算で2003年度分の情報化事業が前倒しで執行されたことなども、IT関連予算の減額に影響している模様だ。

 ただし、全体ではマイナスとはいえ、電子政府関連などを含む「行政の情報化」にかかわる2003年度予算は合計5759億円で、前年度の5372億円から7.2%の増加となった。中央官庁はe-Japan戦略によって、2003年度末までに電子政府を実現することが定められている。ゴールの年である2003年度には、従来、試験運用だったシステムなどを含めて多くのシステムを本格導入することが決まっている。こういった事情を背景に、高い伸び率を維持したとみられる。

(中村 建助=日経コンピュータ)