東芝の岡村正代表取締役社長 「システム・インテグレーション(SI)事業の顧客窓口になっていた東芝の社内カンパニーのe-ソリューション社と、システム開発を担当する東芝ITソリューションが合併することで、流れのある質の高いサービスを顧客に提供できると考えている」。東芝の岡村正代表取締役社長(写真)は3月7日、「中期経営計画」を発表。東芝グループのシステム・インテグレーション事業を担う新会社設立の意義を語った。

 中期経営計画の概要は、「社会インフラ事業」、「デジタルプロダクツ事業」、「電子デバイス事業」を主力3事業と位置付け、4月以降社内カンパニーの再編や分社を実施していくもの。再編する社内カンパニー各社や新会社に権限を委譲して自立させることで、東芝グループ全体の高収益の安定的確保を狙いとしている。

 社内カンパニーの一つであるe-ソリューション社から、主に大企業向け営業を担当していたソフトウェアソリューション事業部門が独立。子会社である東芝ITソリューションと10月1日に統合され、新会社(社名未定)として再出発する。東芝ITソリューション自体も、2001年10月にe-ソリューション社のエンジニアリング部門(東京システムセンター:当時)と、関連会社の東芝エンジニアリング、東芝アドバンストシステム、東芝システム開発の3社が統合されて発足したばかり。新会社の担当分野は主力3事業のうち「社会インフラ事業」にあたり、特にパッケージ型のソリューション事業に注力していくという。

 e-ソリューション社の残りの機器部門は、社会インフラシステム社の電波システム部門と統合し、4月1日から新しい社内カンパニー(社会ネットワークインフラ社)となる。社内カンパニーとしてのe-ソリューション社は消滅する。

 東芝ではこの中期経営計画で、2005年度に売上高6兆6000億円、営業利益2700億円、2002年に約260%に達しているD/Eレシオ(有利子負債が株主資本の何倍かをあらわした指標)を、有利子負債の削減により150%台に下げることを目指す。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)