「日本ではまだまだ、情報検索や情報活用の重要性が認識されていない」。こう指摘するのは、富士通研究所 ITメディア研究所ドキュメント研究部の松井くにお部長だ。「企業で情報というと、企業内のデータベースを思い浮かべる人が多い。しかし、情報はWebを含めグローバルに存在する。検索技術の発展とともに、情報の検索対象も広げなければならない」(松井部長)。

 松井部長は情報を活用するための手段として、テキスト・マイニングを提案する。「テキスト・マイニングの技術は徐々に進化している。それにともなって、テキスト・マイニング・ツールを導入する企業も増えている」と語る一方で、「しかし、十分には活用し切れていない。現在は、顧客の声の分析など限られた範囲での使用にとどまっているからだ」と指摘する。「今後はテキスト・マイニングの活用範囲を広く考えるべき。例えば、新聞の人事情報や特許情報を分析して競合他社の人事戦略を探るなど、テキスト・マイニングの可能性はまだまだある」(同)。

 現在、松井部長は新エネルギー・産業技術総合開発機構が協賛する情報活用のためのワークショップ「情報マネージメント技術の戦略的活用」に参加している。ワークショップに参加するのは、NEC、東芝、富士通、日立製作所の4社である。このワークショップでは、テキスト・マイニングを含め、情報検索技術や情報活用のあり方について研究していくという。

島田 優子=日経コンピュータ