SAPジャパンは、CRM(顧客関係管理)製品の新版「SAP CRM3.1」の出荷を5月31日から始める。2001年10月から出荷している「SAP CRM3.0」の後継製品で、EIP(企業情報ポータル)のようなイメージで一つの画面にさまざまな情報を表示できることが特徴。具体的には、基幹系システムやグループウエアなどから顧客の購買履歴、契約情報、電子メールなどのコンテンツを抽出し、同一画面に表示できる。価格は非公開。

 画面に表示するコンテンツは利用者の属性に応じて変えられる。コールセンターの従業員用画面、営業担当者用画面、管理職用画面といった具合に、複数の画面を用意できる。

 クライアント・ソフトにWebブラウザを使用するため、販売代理店や顧客に情報を公開する用途にも使える。その際にも販売代理店向け、顧客向けと複数の画面を用意できる。この画面を通じて販売代理店から受注を受け付けたり、顧客からパンフレットの注文を受けることが可能。

 こうした特徴から、SAPジャパンは「SAP CRM3.1は単に顧客を管理するための“従来のCRM製品”ではない」(三村真宗CRMビジネスディベロップメントディレクター)としている。「顧客と従業員との間に入り、顧客との接点となるものだ。従業員は各自のポータルを通じて顧客に向き合う。情報収集、購入、利用、修理、再購入という顧客の行動に合わせて社内プロセスを変革するきっかけとなる」。

 SAP CRM3.1の画面は専用の開発ツールを使い、MVC(Model View Controller)モデルに沿って開発する。開発者は1画面を構成要素に分割した「パターン」として保存しておき、それらを組み合わせて画面を開発する。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ