マイクロソフト日本法人が独自のITコンサルタント資格認定制度を発足させることが、日経コンピュータの取材で分かった。早ければ今年10月にも開始する。この新しい資格は、中小企業のIT化を担う人材の育成を狙った経済産業省主導の認定資格「ITコーディネータ制度」と非常に似通っており、“マイクロソフト版 ITコーディネータ制度”と言えそうだ。

 この新制度は、「MCP(マイクロソフト認定技術資格)」の取得者を対象に、経営とITに関する数週間の研修を実施。その後、資格保有者を交えて現場で実施するオンサイト研修を経て、認定する仕組みになる模様だ。資格取得に要する期間は約3カ月ほどで、費用は講習会でのテキスト代など、実費程度に抑えるものとみられる。

 マイクロソフトは、テキストの作成をはじめ研修全般にわたって、中小企業へのコンサルティングで実績があるシーガルから協力を得る。シーガルはすでに、中小企業向けITコンサルタントを養成する研修を独自に開始している。この手法をマイクロソフト流にアレンジして、新制度でも活用する考え。

 今回明らかになった新制度は、マイクロソフトが2001年10月から取り組んでいる中堅・中小企業市場開拓のための施策「全国IT推進計画」の一環。同社は特に、従業員が100人以下の、約610万に及ぶ中小事業所の開拓に力を入れており、そのためには「経営者に経営とITの両面から助言できるコンサルタントの育成が必要」(眞柄泰利取締役)と判断した。

 マイクロソフトが独自の資格認定制度の発足に踏み切った背景には、既存の制度がうまく活用されていないとの認識がある。「ITコーディネータや中小企業診断士からは、資格を取得してもビジネスにつながらないと言う声をよく聞く。一方で、マイクロソフトというブランドがあると、中小企業に入って行きやすいという声がある。そこで我々が、独自の認定資格制度に乗り出すことにした」(同)。

 ただし、既存の制度と競合する考えはないという。「ITコーディネータや中小企業診断士など、既存の制度と相互に資格を認定できるような仕組みを考えて、協調を図っていきたい」(同)。

井上 理=日経コンピュータ

■日経コンピュータ3月10日号で、マイクロソフト日本法人に関する特集記事を掲載する予定です。こちらも併せて、是非ご覧下さい。