今年4月以降に出荷が予想されるWindows Server 2003を使って社内システムを構築した企業が現れた。JR東日本のシステム子会社、ジェイアール東日本情報システム(JEIS)である。同社は昨年12月、マイクロソフトから無償提供されたRC2(製品候補版2)を、東日本にある23拠点に配置している全ドメイン・コントローラのプラットフォームとして採用。実際に利用し始めた。

 JEIS社内のクライアント数は2000台弱。23台のサーバーの仕様は800MHzのPentiumIII、主記憶512Mバイト、HDDが9Gバイトである。ユーザーの管理には、Windowsのディレクトリ・サービス「Active Directory」を利用する。

 JEIS社内には、Windows Server 2003以外のドメイン・コントローラは存在しない。構築を担当したJEIS技術部の小泉健太郎氏は、「すべてをWindows Server 2003にすることで、Active Directoryの機能を最大限に享受できる」と、Windows Server 2003で揃えた理由を説明する。ドメイン名の変更が可能になる、バックアップ・ファイルの複製時間の短縮されるなど、Windows Server 2003からの拡張機能の多くは、Windows NTやWindows 2000が混在している環境では利用できないからだ。

 JEISは今回、マイクロソフトの早期導入プログラム「JDP(Joint Development Program)」を利用した。Windows Server 2003に関しては、国内で初のJDP利用企業である。検証作業は2001年の11月から始めた。ドメイン・コントローラは昨年11月にRC1で稼働し、12月にはRC2への移行を終えた。

 JEISはJDPの権利をフル活用した。マイクロソフトの調布技術センターで2001年11月から約1年かけてβ版を検証し、展開前に主なバグをつぶした。JEISがバグを発見したときや、改善要望を上げると、マイクロソフトは最優先で対応した。

 ドメイン・コントローラ以外に、ファイル・サーバーなどをRC2で稼働させている。今後は、イントラネット用WebサーバーをRC1から置き換える予定だ。小泉氏は、「画像の圧縮率が高まったWindows Media9を使って、生中継の会議映像を配信してみたい」という。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ