日本IBMは今年6月までに、Webブラウザからの利用に特化したメール・ソフト「Next Gen Mail」の出荷を始める。クライアント・サーバー型のグループウエア製品「Notes/Domino」のメール機能を基に開発し、価格を戦略的に抑えた。「クライアント・ライセンスはNotes/Dominoの10分の1程度になる見込み」と神戸利文ロータス事業部長は打ち明ける。サーバー・ソフトはJ2EE準拠のJavaアプリケーションとして開発する。実行にはWebアプリケーション・サーバー・ソフト「WebSphere」などが別途必要になる。

 日本IBMが同製品で狙う市場は、中堅・中小企業や、大企業でまだメール環境が整っていない部門。「Neots/Dominoを導入している大企業でも、工場などの勤務者はメールの利用環境が整っていない場合がある。そのような市場の取り込みを狙う」と神戸事業部長は意気込む。携帯電話やPDA(携帯情報端末)向けコンテンツ変換ソフト「WebSphere Everyplace Access」を用意し、一人1台のパソコン環境がなくても導入できるよう提案をする。

 Next Gen Mailは、サイボウズのグループウエア「サイボウズAG」と市場で競合するのは確実だ。“競合”サイボウズに関して神戸事業部長は、「切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」とするだけで多くを語らない。日本IBMは昨年6月、サイボウズの「サイボウズ ガルーン」に関して同社と業務提携している影響があるようだ。

 日本IBMは、Next Gen Mailの投入を機に、中堅・中小向けの提案を強化する意向。「Notes/Dominoは10の大手銀行に導入いただいたくほど、大企業ユーザーには強かったが、中堅・中小はこれから」と神戸事業部長はみている。「Next Gen」という名称を、ブラウザから利用する中小規模向けソフト群のブランドとして打ち出す。

 Next Genブランドの製品は、サーバー・ソフトをJ2EE準拠のJavaアプリケーションとして開発する。「リアルタイム・コミュニケーション用ソフト『Sametime』などをNext Genブランドに作り変えて売り出す予定」(神戸事業部長)としている。Next Genは「Next Generation」の略。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ