札幌市は6月をメドに、市民からの問い合わせに対応するコールセンターの本番稼働を開始する。1月から、同市の10区のうち3区(中央区、西区、豊平区)の住民、約60万人を対象に苦情、要望、問い合わせなどの受け付けを試行中だ。「コールセンターに窓口を一本化し、その場で適切な回答を返すことで、“たらい回し”を防ぐ」と、札幌市企画調整局情報化推進部IT推進課の北川憲司CRM担当係長は意気込む。

 市民から電話やファクシミリ、電子メールによって問い合わせがあると、コールセンターのオペレータが事前に準備された約2000のFAQ(よくある質問と答えをまとめたもの)を見ながら応対する。その場で応対が完了しない場合は担当部署に取り次いで、折り返し電話させる。「これまでのところ、98%の問い合わせにオペレータだけで回答できている。2月6日から2月14日までの間に電話口でアンケートを実施したところ、44人から10点満点で平均9.2点という高い評価をいただいた。引き続き努力していきたい」と北川係長は喜ぶ。

 6月には現在オペレータが参照しているFAQの情報を、インターネット上でも市民に公開する。「問い合わせの前に、自分自身で問題を解決できる手段を提供する。問い合わせの件数も削減できる」(同)。コールセンターの本番稼働を、転出入シーズンで問い合わせの増える4~5月に前倒しすることも検討中だ。

 「問い合わせ先が分からないため、市民が市役所への問い合わせを断念するケースは多い。単一の受け付け電話番号を用意することで、問い合わせが容易にできるようになる」とシステム・インテグレーションを担当したアクセンチュアの後藤浩パートナーは語る。「コールセンター・システムを構築した自治体は、札幌市が全国で初めて」という。

 札幌市は、コールセンター・システムの構築と運用のため、2002年度に8000万円の予算を用意した。システム・インテグレーションとコールセンター業務のコンサルティング、オペレータの研修についてはアクセンチュアと契約した。システム開発はプライムシステム、オペレータ業務はもしもしホットラインと契約している。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)