通信会社のケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(C&W IDC)は2月上旬から、全社員(約900名)を対象にeラーニングを導入、稼働させた。IT技術を中心としたコンテンツを40種類用意。「eラーニングの導入で、コスト削減だけでなく、組織全体のレベルアップが見込める」と総務人事部門人事開発部の森嶋正光氏は強調する。

 「今までIT技術の研修は、外部の講座に出向かねばならないことが多く、一部の社員しか受講できなかった。eラーニングで全社員が受講できるようになり、組織全体のIT技術に関する知識が向上する」(森嶋氏)。

 C&W IDCはeラーニング・システムに、米ドーセントのLMS(ラーニング・マネジメント・システム)ソフト「Docent Enterprise」を採用した。C&W IDCが利用している独SAPのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「R/3」とDocent Enterpriseを連携して、人事情報などを自動的にeラーニング・システムに反映させている。人事異動があった場合、人事システムの内容を変更すると、eラーニング・システムの内容も自動的に更新される。「受講者個人はパスワードを管理するだけで、受講すべき講座の選択などを考えなくてもよい」(森嶋氏)。

 コンテンツは外部のベンダーから購入している。森嶋氏は、「コンテンツの選択の際には二つの点に注意した」という。「一つは、eラーニング・ソフトの事実上の国際基準であるSCORM(Sharable Content Object Reference Model)に準拠していること。もう一つは多言語対応 のコンテンツであること。英国本社を始め、世界各国に現地法人があるため、全世界で共通して利用することでコストを抑えられるものにした」(森嶋氏)。

 森嶋氏は、「今回eラーニングを導入に当たって、一番気をつけたのは事前の教育」と話す。C&W IDCは2001年にeラーニングを導入したが、「余り利用されなく失敗した」(森嶋氏)経験があった。今回のeラーニングの導入にあたっては利用を促進するため、「1月末に全社員を対象とした説明会を実施。社内にヘルプデスクを設けるなどの工夫をした」(森嶋氏)。

(島田 優子=日経コンピュータ)