マスコット・システムズのデヴァダス・パラカル ジャパン リージョン代表
 「オフショア開発の受け皿として、インドは中国に品質で勝っている。コストの安さも同等だ」。こう力説するのは、インドの大手システム・インテグレータ、マスコット・システムズのデヴァダス・パラカル ジャパン リージョン代表である。オフショア開発とは、コスト削減や要員確保を狙って、ソフトウエア開発を海外の企業に委託すること。

 パラカル代表がインド企業と中国企業の最大の違いとして挙げるのが「成熟度」。同社を含むインドの大手インテグレータの多くは、ソフトウエア開発組織の品質管理基準であるCMM(能力成熟度モデル)の最高ランク「レベル5」を全社単位で取得している。これに対して中国では、ようやく事業部門単位でCMMレベル5を取る企業が出てきたところだ。ソフト開発ベンダーとしての成熟度では、インドに一日の長がある。

 コストについても、「インド企業はソフト開発の上流工程から一貫して請け負うことができるので、“手戻り”が少なく、技術者の労働単価も安い。そのため、システム構築費用を中国企業と同等以下に抑えられる。日本国内のインテグレータと比べれば、3~4割程度安い」とパラカル代表は語る。また、「インドではアプリケーション開発の受注が今後も伸びる。これに対して中国では、日本企業の工場が数多く進出していることから、ファームウエアなど組み込みソフトの開発が増えるだろう」(パラカル代表)と予測する。

 マスコット・システムズの強みは、日本企業の業務と英語に精通した日本人技術者を多く雇っていること。日本企業が海外ベンダーに発注する際には、日本独特の仕様のあいまいさや慣習など、文化的な要素が問題となることが少なくないからだ。同社は今後2年間で、このような日本人技術者を現在の100人強から300人程度と約3倍に増やし、受注を拡大していく考えである。

広岡 延隆=日経コンピュータ