ソフトウエア開発を手がける東京カコムスは、今年4月にもJavaベースの会計ソフト「AccountingBeans」を出荷する。大きな特徴は、ソフトの中核である業務ロジックの部分をすべて、Javaのソフト部品「EJB(Enterprise JavaBeans)コンポーネント」で開発したこと。EJBを全面採用したパッケージ・ソフト製品は珍しい。

 「当社はEJBコンポーネントを使った開発手法、開発ツール、ミドルウエアを独自に整備し、会計パッケージとして自社製品を開発した。EJBベースのAccountingBeansの投入を機に、旧態依然としたソフト開発のあり方に波紋を投げかけたい」と、東京カコムスの清水宏代表取締役社長は1月29日に開催した製品発表会で、意気込みを語った。

 「業務ロジックをEJBコンポーネント化したことで、システムの稼働後にアプリケーションの機能を変更する場合にも、変更部分を特定しやすく保守も容易だ」と、同社オブジェクト・ソリューション部の樽井俊行 部長は説明する。

 東京カコムスは今回開発したEJBコンポーネントを、7種類のサブシステム(一般会計、債権管理、債務管理、手形管理、経費精算、固定資産・リース管理、連結決算)に分けて販売する。各サブシステムの共通機能として、ワークフロー管理機能やユーザーのアクセス権限管理機能なども提供する。

 AccountingBeansの価格は基本的な機能を備える「一般会計」の場合、10ユーザー用で200万円。別途専用のアプリケーション・サーバー用ソフトが必要で、価格は1プロセサあたり50万円から。東京カコムスがシステム構築サービスも提供。西原良一取締役副社長は「年商200億円規模の企業を対象にした会計システムの場合、2000万円から3000万円程度で構築できると見込んでいる」という。

 東京カコムスは、AccountingBeansを構成するEJBコンポーネントの販売も検討している。現在、EJBコンポーネントの内部構造を公開するための文書データの作成を進めている。

(西村 崇=日経コンピュータ)