25日から26日にかけて世界規模のネットワーク障害を引き起こした新型ワーム「SQL Slammer(スラマー)」に感染した企業が、日本で10社あったことがわかった。日経コンピュータの取材でマイクロソフトの阿多親市社長が答えた。これまで、一番被害が大きかった韓国を始め、米国、欧州、中国など世界各地で感染報告があったが、日本では報告がほとんどなかった。

 阿多社長によると、週明け月曜日の段階で、SQL Server 2000のユーザー企業など約200社から問い合わせの電話があった。そのうち実際にSQLスラマーに感染していた企業は、10社あったという。残る190社は適切なセキュリティー・パッチをあてるなど対策を講じており、感染はしていなかった。感染した10社の社名については明らかにしなかった。

 SQLスラマーの第一報が阿多社長のもとに入ったのが25日の午後2時。午後4時には、マイクロソフトとウイルス対策ソフトのメーカーが協力しながら対策に取りかかったという。26日に入って、感染の疑いがある数万のユーザーに警告のメールを出した。その後、企業が始業する月曜日に入って、次々に問い合わせや感染報告の電話があった。

 阿多社長は「27日の夕方で国内の被害はほぼ収束した。しかし、亜種の発生に気を付けなければならない。亜種については、発見しないことにはどのパターンのパッチが必要か分からないため、ユーザーの皆さんは引き続き警戒して欲しい。マイクロソフトとしても警戒態勢を解いていない」と話している。

 なお、経済産業省の外郭団体である情報処理振興事業協会(IPA)のセキュリティセンターによると、28日午後6時現在の被害報告は「トラフィックが重くなったという報告が3件、感染したという報告が1件」だという。

井上 理=日経コンピュータ