防衛庁の内部ネットワークのデータ流出に関して、富士通を恐喝したとされる事件の初公判が1月16日、横浜地方裁判所において開かれた。3人の被告は恐喝未遂などの起訴事実を認めた。

 日経コンピュータは以前、「防衛庁のデータ流出で露呈:IT業界の下請け構造の危うさ」について記事にまとめた。当時、被告の一人であるエンジニアは、本誌の取材に対して「富士通の管理体制のずさんさを告発することが目的だ」と話していたが、実際の目的は富士通に対する恐喝だった。

 検察は冒頭陳述で、「被告らは『防衛庁の内部ネットワークのデータが流出したことが明らかになれば、富士通が20億円程度をかけてネットワークを作り直す必要がある』と判断して、富士通から金銭を恐喝することが可能だと考えた」とした。

 また冒頭陳述によれば、「被告らが本誌をはじめとする報道機関に対して、防衛庁の内部ネットワークのデータ流出を明らかにしたのは、富士通や防衛庁に対する交渉が不調に終わったため、必要以上に富士通の管理体制のずさんさを強調することで、富士通に対する社会的な信用を傷つけることが目的だった」とした。

中村 建助=日経コンピュータ