NTTデータは12月20日から、数十万台のパソコンを使った大規模グリッド・コンピューティングの実験を開始する。期間は2003年3月20日までの3カ月。

 同社が2008年に300億円と予測するグリッド・コンピューティング市場を見据え、大規模な「PCグリッド」の開発・運用上の問題を発見・解決して事業に役立てる。「グリッド・コンピューティングそのものの認知度向上も狙う」(NTTデータの鑓水訟氏cell computingプロジェクトリーダ)。

 実験では、一般のパソコン・ユーザーから参加者を募集する。参加者は「メンバー・ソフト」をパソコンにインストールし、動作周波数1.5GHzのPentium4プロセサで処理に24時間かかる程度のプログラムとデータをNTTデータのサーバーからダウンロードする。

 プログラムは最も優先度の低い処理としてWindowsに登録され、ネットワークに常時接続している必要もない。プログラム実行中も、パソコンは通常通り利用できる。処理が終了すると、メンバー・ソフトが結果をアップロードする。

 参加者のパソコンで実行するプログラムは、東亜合成(http://www.toagosei.co.jp/index2.htm)が開発した「ヒトの遺伝子情報からの周期性の発見」と、NTT物性科学基礎研究所(http://www.brl.ntt.co.jp/J/index.html)による「光学的に新たな特徴を持つ材質の設計図の作成」の2種類。どちらか一方がダウンロードされる。

 実験環境の構築には日本IBMと米ユナイテッド・デバイスが協力する。NTTデータで稼働するサーバーはIBMのeServer xSeriesと同pSeries。メンバー・ソフトの開発や、参加者に送るデータの分割・送信を制御するグリッド構築ミドルウエアは、米ユナイテッド・デバイスとNTTデータが共同開発した。

森 永輔=日経コンピュータ