ガートナー ジャパンのデータクエスト部門は12月16日、2002年の国内のITサービス市場の前年比成長率を4%増と予測した。これは「過去最低の水準」(データクエスト 山野井聡ITサービス市場担当アナリスト)。同社は6月に5.6%との予測を発表していたが、「景気の低迷が予想以上に長期化していることを受け」(山野井氏)、これを下方修正した。2002年の日本のITサービス市場は8兆1914億円になると推定している。
同社は市場低迷の原因は三つあると見ている。一つ目は、金融・製造・通信を中心とした主要業界が、IT投資を抑制していること。二つ目は、ユーザーがROI(Return on Investment,投資利益率)が不明なプロジェクトを凍結・先送りしていること。三つ目は新規案件の値引き要求、案件の小規模化、商談の長期化、エンジニアの稼働率低下が2002年半ばから顕在化し、各ベンダーの業績が悪化していることだ。
2003年上期まで市場の冷え込みは続くが、2006年までの年平均成長率は6.7%と予測。2006年の市場規模は10兆8897億円に達すると見ている。
とりわけ今後成長が見込めるのは、情報システムの運用管理業務代行。「顧客のROIを明示してアピールしやすい」(山野井氏)と言う。2002年に10.3%伸び、2006年まで年平均12.0%増で成長すると見込む。同様の理由で人事・経理・コールセンターなどのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が2003年以降に加速すると予測する。
コンサルティングや新規アプリケーション開発プロジェクトは、2003年上期までは手控えられ、厳しい値引き要求にさらされると見る。「ハードウエア保守サポート・サービス」についても厳しいと予想、2002年の前年比成長率は0.7%減で、2006年までの年平均成長率は0.4%にとどまるとしている。