ネットワークアソシエイツのガロット副社長 「今後2~3年、ウイルスの標的となるのは、無線LAN、.NET、それに携帯情報端末(PDA)の三つだろう」。ウイルス対策ソフト・ベンダー大手、米ネットワークアソシエイツのヴィンセント・ガロット副社長はこう指摘する。ガロット氏は、同社でウイルス対策チーム「AVERT」を統括している。「この三つは、いずれもこれから広く普及が見込まれている。ウイルス作者は普及を狙ってウイルスを作成するはずだ」と警鐘を鳴らす。

 無線LANがウイルスの標的となりやすい理由をガロット氏は、「ほとんどのユーザー企業はウイルス対策や、暗号化といったセキュリティ対策を講じることなく、無線LANを導入しているため」と説明する。「ある調査によると、これまで構築された無線LANサイトでセキュリティ対策を講じているのは、2割にとどまる。これではウイルスは無線LAN経由で簡単に社内のコンピュータに侵入できる」と警告する。

 マイクロソフトの新しい開発・実行環境である.NET Frameworkについては、「.NET Frameworkには、従来のWindowsに比べて便利な機能が多く追加されている。それだけにウイルス作者が追加機能を悪用する可能性も高い」とガロット氏は説明する。ただし、「マイクロソフトはセキュリティ対策を強力に進めているようだ。ウイルスが.NET Frameworkを本当に攻撃できるかどうかは今のところわからない」と付け加える。

 ガロット氏はPDAについて、ウイルスの感染経路を問題視する。「パソコンとデータを同期する際のウイルス感染に注意が必要だ。この経路の感染は、ネットワーク経由でウイルスを検知するゲートウエイ型のウイルス対策ソフトでチェックできない」。

 このほかガロット氏は、ウイルスの“機能”にも変化が現れるとみている。「これまでは感染すると大量のメールを配信する機能を持つウイルスが多かった。しかし今後はパソコンからデータやユーザーのパスワードを盗み取る機能を持つものが増えてくるのではないか」と予想した。

西村 崇=日経コンピュータ