「企業は今後、業務の変化に合わせてシステムを素早く構築・変更することが不可欠になる。業務プロセスを目に見える形で表現し、それを一元管理するBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ソフトを使えば、システムの構築・変更を、短期間かつ低コストで実施できる」。BPMソフト「BusinessWare」を手がける米ビトリア・テクノロジーで、プロダクト・マネジメント シニアディレクターを務めるスレシュ・チャンドラセカラン氏(写真)はこう強調する。

米ビトリア・テクノロジーのスレシュ・チャンドラセカラン氏 企業には、例えば商品の受注や与信、在庫引き当て、配送、会計処理といったさまざまな業務が存在する。BPMソフトはこうした業務プロセスを、GUIによって見やすく定義・表示する機能を持つ。さらに、複数のシステムを接続するEAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)機能も備える。一連の業務プロセスを実行するには、受発注や会計、配送など、さまざまなシステムを連携させなければならないからだ。

 「業務プロセスを変更する際にもBPMソフトは威力を発揮する」(チャンドラセカラン氏)。BPMソフトには、業務プロセスに沿って進行するトランザクションの実行状況をリアルタイムで確認する機能があるからだ。この機能により、例えば「与信」処理が停滞しがちであることが分かれば、得意先からの発注分については、優先して「与信」処理を実行したり、「与信」を省略して「在庫引当」処理を実行する、といったことができる。「在庫引当」と「配送」の間に「欠品の発注」を追加する、といった業務プロセスの変更を、即座にシステムに反映することも可能である。

 こうした利点があるにもかかわらず、BusinessWareをはじめとするBPMソフトは、日本ではまだそれほど普及していない。これについてチャンドラセカラン氏は、「BusinessWareは世界的にみて、業務の変化が激しい金融業や通信業、製造業などで多く使われている。これは、BPMソフトが業務の変化に強いことを認めてもらっている証拠だ。日本でも規制緩和が進んで企業間の競争が激化すれば、BPMソフトの必要性は高まる」と強調する。

 米ビトリアは今年12月、「BusinessWare 4」の出荷を始める。新版の特徴は、「より早く、より安くシステムを作り上げていくための機能」(チャンドラセカラン氏)を用意したこと。具体的には、業務プロセスを再利用するための機能や、処理するデータの形式変換や整合性チェックなどを一元的に管理する機能などである。日本語版の出荷は来年2月を予定。価格は2000万~3000万円程度からになる見込みである。

大和田 尚孝=日経コンピュータ