eラーニングに関する標準化団体である米アドバンスト・ディストリビューテッド・ラーニング・イニシアティブ(http://www.adlnet.org/)は2003年第1四半期をめどに、eラーニング・ソフトに関する国際標準規格「SCORM(Sharable Content Object Reference Model)」の新版1.3を発表する。学習の進ちょく状況などに合わせてeラーニングのコンテンツを変えられる「シンプル・シークエンス」と呼ぶ機能を新たに追加するのが特徴だ。

 SCORMは、eラーニング用途に特化したXML標準仕様。コンテンツの仕様やコンテンツどうしの関係などを、SCORMを使って表すことができる。eラーニング・コンテンツをSCORM仕様にのっとって作成しておけば、SCORM対応のLMS(学習管理システム)であれば、どのベンダー製のLMSからでも利用できる。このため、eラーニングを利用するユーザーは、使用するプラットフォームを気にせずに、eラーニング・コンテンツを作成したり利用できるようになる。日本でもSCORMは普及しつつあり、LMSベンダーやコンテンツ・ベンダーの新製品のほとんどはSCORMに準拠している。

 SCORM v1.3の新機能であるシンプル・シークエンスは、複数のコンテンツで構成する一つの学習コースに対して、複数の「修了パターン」を設定できるようにするもの。従来のSCORM仕様では、一つのコースあたり一つの修了パターンしか設定できなかった。シンプル・シークエンスを使うと、受講者が自分のレベルや進ちょく状況に合わせてコンテンツを選択できるようなコースを実現できる。

 「シンプル・シークエンスは、これまでバージョンアップ時にSCORMに施された機能強化の中でも最も大きい」と、SCORMに関するコンサルティングを手がけるカナダのリコンボ(http://www.recombo.com/)でeラーニング・アナリストを務めるマーシャ・シーヘン氏は話す。「シンプル・シークエンスを使えば、学習の進ちょく状況や個人の好みに合わせて学習が進められるようになり、学習の自由度が上がる。SCORMの利用の幅も広がるだろう」とシーヘン氏はみている。

島田 優子=日経コンピュータ