サードウェアの久保社長 「これまでLinuxを使って、マイクロソフトが展開しているサーバー・ビジネスの後追いをしていた。それは間違いだった」。このように話すのは、Linuxに特化したシステム・インテグレータの老舗であるサードウェア(http://www.3ware.co.jp/)の久保元治社長(写真)。サードウェアは今後、「手広くやっていたシステム・インテグレーション事業を縮小し、Linuxの特徴を生かした専用システムの開発に集中する」(久保社長)考えだ。

 具体的には、ショッピング・サイトやテレビ会議システムといった特定用途向けシステムの開発に専念する。OSとして、Red Hat Linuxにサードウェアが手を加えた「Z-Linux」を利用。Z-Linuxをハードウエアと組み合わせた専用システム(アプライアンス)を順次商品化していく。販売やマーケティングは他のシステム・インテグレータと組む。

 既に今年9月から、ショッピング・サイトの構築を支援するアプライアンス製品「Z-Linux一発開店」をニチメンコンピュータシステムズ(http://www.nmncs.co.jp/)を通じて販売している。価格はハード、サポート込みで98万円。そのほか、ポータル構築や企業間電子商取引などの開発計画があり、ニチメンコンピュータ以外のインテグレータとも協業し販売する。

 Z-Linuxには、「フラッシュディスク・オプション」というオプション機能がある。この機能では、Linux自身を含むソフトとハードの設定情報を専用のコンパクト・フラッシュに圧縮・格納しておく。ハードディスクに障害が発生した際には、このコンパクト・フラッシュから直接Linuxを起動できる。「Linux自体が安定したOSだが、これに加えてフラッシュディスク・オプションを提供することで、障害時でも作業員が現地に向かう必要がなくなる。この機能を生かして、キオスク端末や遠隔地のサーバーとしても売り込みたい」(久保社長)。

 サードウェアは1997年の設立と同時にLinuxを使ったインテグレーションを開始。当時、Linuxの先進インテグレータとして各種メディアがこぞって取り上げた。現在は社員3人で巻き返しを図っている最中である。

鈴木 淳史=日経コンピュータ