matriXignによる二次元シンボルの例 新たな二次元シンボル(バーコード)技術「matriXign(マトリックスサイン)」が日本に上陸した。同技術を開発したドイツのベンチャー企業であるインホベイションが11月6日に日本法人(http://www.inhovation.co.jp/)を設立。今年度中にも、matriXignによる二次元シンボルの作成支援ツール「matriXign SDK」を投入する予定だ。

 二次元シンボルは、文字や画像などの情報を長方形の領域に印刷した2値のドット・イメージで表現したもの。同じ二次元シンボルを電子的な文書だけでなく、「印刷して」紙の文書にも付加できる(の文書の下に見えるのがmatriXignによる二次元シンボル)。情報を圧縮して保存できるうえ、シンボルを見てもデータを判別できないのでセキュリティも維持できる。

 matriXignの特徴は、安価で手軽に利用できること。二次元シンボル技術を使う場合は通常、シンボルを読み取って情報を変換するために高解像度・高価格の専用装置が必要になる。matriXignでは300~600dpi程度の一般的なスキャナがあれば読み込むことができる。読み取ったシンボルから情報を復元するためのソフト「matriXign Reader」は無償で配布する。

 インホベイションはmatriXignの主な用途として、「電子署名データのシンボル化」を挙げる。重要な文書に電子署名データが入った二次元シンボルを印字。シンボル付きの文書を受け取った人が、その文書をスキャナなどで読みとり、さらにmatriXign Readerを使って電子署名データを復元することで、通常の電子署名と同じ要領で利用可能になる。matriXign SDKを使うと、PDF形式などでデジタル化した文書にmatriXignを組み込むこともできる。

 インホベイションのキム・インホCEO(最高経営責任者)は、「顧客の声を取り入れてより製品の質を高めるには日本が最適だと考え、日本進出を決めた。ゆくゆくは技術を開発したヨーロッパに逆輸入していきたい」と語る。

松浦 龍夫=日経コンピュータ