日野自動車(http://www.hino.co.jp/)は10月29日、携帯電話を使ってバスの利用料金を決済したり、乗客に各種情報を提供するシステム「BT Conductor」を公開した。日野自動車がKDDI、日本エリクソンと共同で開発したもので、東京・幕張で開催中の「東京モーターショー2002(商用車)」(http://www.motorshow.or.jp/)でデモンストレーションを実施した(写真上)。
携帯デモその1 

 BT Conductorには、Bluetoothの通信機能を持つソニー・エリクソン製の携帯電話を採用。バスに乗車後、乗客が携帯電話で目的地を指定すると、その情報を運転手に伝達。目的のバス停がいくつ先か、といった情報を携帯電話の画面に逐一表示したり、バイブレーションによって知らせることができる(写真下)。同時に、利用料金も携帯電話で決済できる。
携帯デモその2 

 日野自動車総合企画部の中村正氏は、「バスは便利な乗り物だが、路線が複雑で、初めて利用する人には面倒なことも多い。BT Conductorは、バスをもっと便利なものにするための試み」と説明する。

 携帯電話で利用できる通信方式にはBluetoothのほかに、パケット通信や赤外線通信がある。「Bluetoothは通信料金がかからず、混雑した車内でも利用できるので最適だと思う」(中村氏)。

 こうしたシステムを実現するうえで、技術的な問題はほぼ解消されたが、実用化にはまだ課題が多い。バス、電車、地下鉄などを運営する複数の会社が連携して共通の仕組みを導入しないと、一般利用者にとっての利便性が向上しないからだ。中村氏は、「まずは携帯電話向けの情報提供から始めて、最終的に決済までが可能になるのではないか」と予想している。

 東京モーターショーは、11月3日まで開催されている。

坂口 裕一=日経コンピュータ