米IBMが2004年の量産を目指して開発している次期サーバー用プロセサ「POWER5」の内容が明らかになった。実行ユニットの空き時間を使って、別のプログラム(スレッド)を同時に動かすSMT(Simultaneous MultiThreading)技術を実装する。OSからは二つのプロセサを搭載しているようにみえる。SMT技術を利用しない場合に比べて、処理性能が1.5~1.8倍に高まる。UNIXサーバーの「eServer pSeries」とオフコン「同iSeries」用の将来の製品に搭載する。

 POWER5は、現行のPOWER4と同じく、同一プロセサ・モジュール内に二つのプロセサ・コアを搭載する。このため「POWER5を使えば、一つのプロセサ・モジュールで4プロセサ(4ウエイ)機に相当する性能を出せる」とIBMは主張している。

 このほかIBMはPOWER5に、OSの基本機能を実行するハードウエアを盛り込む。TCP/IPに基づく通信処理など、各OSに汎用的な処理を実行する命令セットとその実行回路を追加する。この命令セットは公開し、他のソフトウエア・ベンダーも利用できるようにする。
 
 IBMはPOWER5を0.13μmルールで製造する。IBMが持つ半導体製造技術を総動員して、消費電力を抑える。消費電力はPOWER4(115W)より3割ほど少ない。80W程度になる見通し。

 SMT技術は、すでに米インテルがサーバー用の32ビット・プロセサXeonに「HyperThreading」の名称で実装済み。米サン・マイクロシステムズもUltraSPARCの次世代製品で実装を計画している。

(星野 友彦=日経コンピュータ)