NECは10月22日、自律コンピューティングを実現するための新構想「VALUMO(バルモ)」を発表した。自律コンピューティングは、オープン・システム環境における運用の複雑さを解消するため、システム自身が状況の変化に合わせて自ら構成を変える仕組み。NECはVALUMOに基づいて、2004年度中をメドに必要な機能を製品に組み込んでいく。「当社は、8年にわたってオープン・ミッション・クリティカル・システムに挑戦してきた。VALUMOには、この成果を集約する」(NECの川村俊郎取締役常務)。

 NECは自律コンピューティングの実現に必要な機能を、「自律」、「仮想化」、「分散」の3機能と定義した。

 自律は、システムに障害が発生した際に、自動的にこれを復旧させる機能。処理負荷が高まった場合に、自動的に負荷分散する機能なども含まれる。

 仮想化は、多数のサーバーを接続した環境において、これらを論理的に1台のサーバーとして運用する技術である。拡張性の向上や運用負荷の軽減が可能になる。

 分散は、ネットワーク環境において、確実にメッセージ連携を行う機能。遠隔地に災害対策サイトを構築する場合などに役立つ。NECは、これらの機能を、米オラクルや米ヒューレット・パッカードといったパートナ企業と協調して開発していく。

 すでに米IBMやヒューレット・パッカード、富士通、米サン・マイクロシステムズなどが自律コンピューティング構想を発表している。今回NECがVALUMOを発表したことで、日立製作所を除く大手コンピュータ・メーカーの自律コンピューティング構想が出そろったことになる。今後は、各社が実際の製品化に向けて、どれだけ具体的なロードマップを明らかにできるかが競争の焦点になりそうだ。

森 永輔=日経コンピュータ