オムロンは10月10日,100%子会社で中堅システム・インテグレータのオムロン アルファテック(http://www.omron-at.co.jp/)の株式の65%を日本IBMに譲渡したと発表した。3年以内に残りの全株式も日本IBMに譲渡する予定。オムロン アルファテックは年末までに社名も変更する。

 オムロン アルファテックは米EMCのストレージや旧コンパックのサーバー、ロータス・ノーツやマイクロソフトのExchangeなどのグループウエア、米JDエドワーズのERPパッケージ(基幹業務パッケージ)など、マルチベンダー製品を幅広く扱う中堅システム・インテグレータ。2000年3月期には売上高272億円に達していたが、2期連続減収で2002年3月期の売上高は前年同期比12%減の約184億円。オムロンは「このままでは高収益体質への独自での転換は望めない」(オムロンの発表資料より)として、日本IBMに経営権を譲渡した。

 ただし、オムロン アルファテックでは「従来通りマルチベンダー製品を扱うインテグレータとしての戦略は変えない。日本IBM傘下でもコベルコシステムやエクサなどマルチベンダー路線のインテグレータがあり、同様のポジションを取る。従業員(3月末時点で412人)も削減の予定はない。従来はオムロンが開拓した商談を当社がインテグレーションするなどの協業により、当社の売り上げの約2割をオムロン関連で占めていたが、この比率も変える計画はない」(企画室-広報宣伝グループ-の藤井康宏主任)としている。

 オムロン アルファテックの前身は1971年設立の日本ミニ・コンピュータ。当時ミニコン大手の米データゼネラル(後に米EMCが吸収)と提携し、1980年に日本・データゼネラルに社名変更、91年からオムロンの100%子会社となっていた。

 オムロン本体は自社システムを94年から日本IBMにアウトソーシングしており,98年4月には日本IBMとの合弁でシステム運用会社オムロン ネットワーク アプリケーションズ(オムロン65%、日本IBMが35%を出資)を設立している。

 オムロン アルファテックの新代表取締役社長には10月8日付けで日本IBMの荒川出(いづる)ITS事業部ISMサービス担当が就任(出向)し、オムロン出身の市川勝一 前社長は代表取締役副社長となった。

(千田 淳=日経コンピュータ)