「大型サーバーを選定し,購入する権限が,企業のCIOや情報システム部門に戻っている。なるべく大型のサーバーを買って,業務処理を集中していこうという傾向もはっきりしてきた。メインフレーム全盛時代のような,“グラスハウス・コンピューティング”が復活しつつある」。大手システム・インテグレータ,ニイウスの末貞郁夫社長はこう市場動向を読む。

 末貞社長は長年,日本IBMで営業を手がけた経験を持つ。末貞氏がメインフレームを販売していたときと,現在の状況は似てきたという。“グラスハウス”とは今から30年ほど前,メインフレームを購入したユーザー企業が,それを設置するために用意したいわゆる「計算機室」のこと。ガラス張りの部屋が多かったことからこう呼ばれた。この表現が使われた30年前,コンピュータは専門家が厳重に管理する貴重品であった。

 システム部門が復権している理由は,かつてのような専門家による集中管理/集中運用が見直されたことにある。「これまでは,現場の利用部門がサーバーを選んで買っていた。しかし利用部門は結局,自分で運用しきれず,システム部門に頼むことになる。経営者もあちこちからサーバーを買うのは,かえって高くつくと考え直した」(末貞社長)。

 こうした変化が起きているため,「サーバーを売るには,しっかりしたシステム・エンジニアを揃える必要がある」(末貞社長)。エンジニアリング力があるインテグレータでないと,技術が分かる情報システム部門から相手にされない。このため,ニイウスは,米IBMの研究所へ社員を派遣するなど,エンジニア教育に力を入れているという。

 ただし懸念すべき傾向も出てきた。「まとめて買えば安くさせられるから,ベンダーをたくさん呼んで競争させればそれでよい,と誤解しているお客様があって困っている」と末貞社長は打ち明ける。「サーバーは,パソコンとは違う。エンジニアリング・サービスがお粗末なベンダーから買うと,いくら安く買えたしても,結局は“動かないコンピュータ”になるだけだ」。

(谷島 宣之=コンピュータ第一局編集委員)