総務省は10月9日にも、「公共ITにおけるアウトソーシングに関するガイドライン研究会」(委員長:東京大学の須藤修 大学院情報学環 教授)を立ち上げる。地方自治体が情報システムをアウトソーシングする際に、ITベンダーと結ぶ契約のひな型を作ることが狙い。早ければ2003年1月にも、報告書もしくは具体的なガイドラインを取りまとめる。

 ひな型には、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)の考え方を取り入れる方針。難解なITの専門用語は使わず、「電子メール・サービスの稼働率は99.8%とする」といった具合に、内容を定める。アウトソーシングを委託する側と受託する側の権限と責任、紛争が起こった場合の解決手段なども盛り込む予定だ。

 研究会の委員は19人。大学の研究者のほか、弁護士、地方自治体関係者、ITベンダーなどで構成する。

 地方自治体の多くは、ITの専門知識を持つ要員がおらず、電子申請・届出といった情報システムを自力で開発・運用することが難しい。そこで、ITベンダーが提供するアウトソーシング・サービスを利用するケースが多くなると見られている。しかし、アウトソーシング契約を結ぶ際に参考となるひな型がなく、実際の契約に踏み切れない地方自治体がある。こうした地方自治体からひな型策定の要望が上がっていた。

森 永輔=日経コンピュータ