ストレージ製品大手のイーエムシー ジャパン(EMC、http://www.emc2.co.jp/)は10月2日、ストレージ管理ソフトの新製品群を発表した。同社は、ストレージの情報を一元管理するレポジトリを中核とした基盤ソフト「EMC ControlCenter Open Edition(ECC)」をすでに提供しているが、今回発表した製品はいずれもECCと組み合わせて使う。同社が提唱しているストレージ管理のオープン化と自動化を目指す「Auto IS」構想の一環である。

 今回発表した製品の目玉は、年内に出荷予定の「ControlCenter Automated Resource Manager(ARM)」だ。最大の特徴は、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)につながるストレージを追加したり再配置する場合に、これまでは手作業で行う必要があった面倒な設定を自動化できること。EMCはこのような機能を、「プロビジョニング(「準備」などの意味)」と呼んでいる。将来的には、アプリケーションを実行する際に、処理状況などに応じて、そのアプリケーションが扱えるデータの容量を自動的に増減するような機能も検討している。

米EMCのエレズ・オファー ソフトウェア・オペレーションズ主席副社長
 米EMCのエレズ・オファー ソフトウェア・オペレーションズ主席副社長(写真)は、「プロビジョニングに加えて,プレゼンテーション,モビリティの三つの機能を提供することで、いわゆる“バーチャリゼーション”を実現する」と語る。プレゼンテーションは,複数ベンダーのホスト・コンピュータやストレージを,一つのシステムとして管理・運用できるようにする機能。モビリティは,複数のストレージを接続したネットワーク環境で,データを自動的に最適配置する機能で、特定のディスク・ドライブにアクセスが集中する場合などに役立つ。

 三つの機能により,異機種ストレージを利用する企業は運用管理の負荷軽減を図ることができる。オファー氏はこれらの機能の開発を、「当社のソフトウエア戦略において重要なテーマ」と位置づけ、「来年中に製品をリリースする予定」という。

 現在のところ、プロビジョニング機能を利用できるストレージは、EMCの「Symmetrix」と「CLARiX」、および日本ヒューレット・パッカードの「Storage Works」。EMCは順次、ほかのベンダーのストレージを対象に加えていく予定である。

鈴木 孝知=日経コンピュータ