テレビ朝日(http://www.tv-asahi.co.jp/)は今年8月、番組サイトの開発を効率化するためのシステム基盤を構築した。来年8月まで、一部サイトでの実運用とシステム評価を続け、2003年中に予定している地上波デジタル放送の開始に合わせて本格運用する。構築費用は約10億円。

 同社が構築したシステム基盤とは、どの番組のWebサイトにも共通して使える、物品販売に伴う課金・決済やアンケート、検索などの仕組みのこと。従来は番組サイトごとに、これらの仕組みを開発していたので、サイトの立ち上げに時間がかかっていた」(テレビ朝日コンテンツ事業局インターネット事業部兼広報局広報部の西勇哉氏)という。

 システム基盤は、UNIXサーバーで動作するアート・テクノロジー・グループ(http://www.jp.atg.com/)のCRM(顧客関係管理)ソフト「atg Dynamo」と、独自開発のサブシステムで構成する。課金・決済やアンケート、検索などの共通機能は、atg Dynamoを使って開発。独自開発のサブシステムは、記事などのコンテンツをWebブラウザから入力するのに利用する。

 テレビ番組の制作では、とかく時間に追われることが多く、番組サイトも短期間で制作することが求められていた。「2時間のテレビ番組を1日で制作することもあるので、番組サイトは迅速に開発しなければならない。atg Dynamoを使えば開発工数が少なくて済むし、開発とサイトの制作を並行して進められる利点もある」(西氏)と同社は評価する。

 atg Dynamoでは、Webページに含まれるタイトル、記事、画像などの要素を個別に管理できるので、記事と画像を組み合わせて表示したり、タイトルだけを並べて表示する、といったことを容易に実現できる。これにより、「コンテンツの管理と“見せ方”を分けて考えることができるようになった」(西氏)。従来は、HTMLを記述してWebサイトを更新するケースが多く、手間がかかっていた。

 同社は、Webサイトを活用した視聴者の満足度向上に注力する考えだ。「地上波デジタル放送が始まると、放送と通信の連携が一層進むので、Webサイトの重要性が高まるだろう」(西氏)とみている。

坂口 裕一=日経コンピュータ