新規株式公開の企業情報など株式情報のポータル・サイトを運営する東京アイ・ピー・オー(東京IPO、http://www.tokyoipo.com/)が業務の継続を断念、自社の知的財産権と営業権をインターネット上で売りに出している。9月30日にオークションによって譲渡先の企業を決定し、10月18日に営業権を譲渡する計画。ネットベンチャーが、自らの会社をネットで販売するという異例の事態だ。

 ネットで販売といっても、いわゆるインターネット・オークションで譲渡先企業を募集しているわけではない。東京IPOは9月11日、同社のWebサイトと関係者への電子メールで知的財産権と営業権の譲渡を告知した。譲渡先は法人に限られ、オークションへのエントリーはメールのみ。その後、書類のやり取りを経て、9月30日に都内某所にて譲渡先を決めるとしている。

 売りに出されているのは、営業権のほか、ドメイン名(tokyoipo.com、ipotokyo.com、tokyoipo.co.jp)、同社が保有する株式関連のデータ、Webサイトのプログラム、ユーザーのメールアドレスのリスト、デルコンピュータ製パソコン・サーバー2台とルーターなど。「東京アイ・ピー・オー株式会社」という商号は譲渡の対象外としている。

 東京IPOは2000年2月、東証の1部2部と店頭市場、マザーズ、大証1部2部、ナスダックジャパンで新規公開する企業の事業内容や過去3年間の財務データ、公開株の引受証券会社などの情報を、Webサイトやメールで提供するサービスを開始した。しかし、不況で新規公開企業が減少するなどの要因もあり、事業を継続するのは困難と判断した。メール・マガジンの発行部数は9月時点で1万8000ほどだった。

井上 理=日経コンピュータ