米RSAセキュリティのアート・コビエロ社長兼CEO(最高経営責任者)が来日,新しい事業戦略とWebアクセス市場の動向について語った。「企業のIT予算が削られる中でも,Webアクセス管理の市場はまだまだ伸びる。Webアクセス管理はWebサービスなどの新しいビジネスを可能にするものだからだ。我々は,Webアクセス管理の市場は現在の1億5000万ドル規模から,数年で数10億ドル規模に拡大すると見ている」(コビエロCEO)。

 RSAセキュリティの新戦略は「Trusted Identity & Access Management」。企業のポータル・サイトやWeb上のアプリケーションにおいて,ワンタイム・パスワード・システムなどのユーザー認証から,アクセス管理までを一貫して,信頼性のあるWebコンピューティングを実現する構想だ。

 同社はこの新戦略の第一弾として,Webアクセス管理ソフトの新製品「RSA ClearTrust日本語版」を今年第4四半期に投入する。アクセス管理とは,ユーザーごとにWebサイトへのアクセスおよびアクションを制御するもの。またWebサイトで複数のアプリケーションを使用する際に一度の認証で済むようにする,シングル・サインオンを可能にするものである。

 「RSA ClearTrust」ではこれらの基本機能に加え,(1)データベースと連携し,所属部署や役職のステータスや,口座残高のような変数をアクセス管理の基準にできる,(2)ユーザーにアクセスを許可するWebページもページ単位ではなく,単一ページ内にあるCGIファイルやGIF,JPGファイルごとにアクセスの可否を設定できるなど,詳細な設定を可能にした。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)