米CPEのラミレス副会長 「ディザスタ・リカバリ(災害復旧)で最も注力すべきは体制作りだ。今はシステム面ばかりが注目されている」。こう苦言を呈するのは,米コンティンジェンシー・プランニング・エクスチェンジ(CPE,http://www.cpeworld.org/)のロバート・ラミレス副会長(写真)。CPEは,災害時の業務継続について研究している米国のNPO(非営利団体)である。

 ラミレス副会長はこれまで,災害後にシステムやデータだけが残って,それを運用する人や体制がそろわず機能しなかった事例を何度も見てきたという。復旧のための体制がきちんと整備されてなかったためである。「ディザスタ・リカバリは,経営者のビジネス戦略に基づいたシステムを正しく運用できる体制を整えておかなければ意味がない」と強調する。そのため,「経営者のコミットメントが欠かせず,経営者はディザスタ・リカバリの必要性を認識しなければならない」と続ける。

 さらにラミレス副会長は,「ディザスタ・リカバリは,システムや体制を構築しただけでも不十分」と語る。「それらが実情にあったものかどうかを常に見直して,改善すること」の重要性を訴える。いざという時に,本当に役に立つものを用意するのは,かなり困難なことであるからだ。

 CPEは今後,日本のディザスタ・リカバリの研究団体である「危機管理対策機構」との提携を深めていく。ディザスタ・リカバリに関する情報共有や改善活動を協力して行う。

鈴木 孝知=日経コンピュータ