グループウエア「サイボウズ Office」を悪質に模倣しており著作権法違反に当たるとして,サイボウズがネオジャパン(神奈川県横浜市)のグループウエア「iOfficeV3」の頒布や使用許諾の差し止めを求めていた訴訟で,東京地裁は9月5日,サイボウズの請求を棄却する判決を下した。

 サイボウズが競合ベンダーであるネオジャパンに対して,頒布や使用許諾の差し止めを求めた仮処分を東京地裁に申し立てたのは2001年1月のこと。ネオジャパンのiOfficeバージョン2.43(V2.43)については,サイボウズの主張が認められたものの,iOfficeV3について申し立てが認められなかったため,サイボウズは東京地裁に対して,iOfficeV3の差し止めを求めて訴訟を起こしていた。

 ところが今回の判決では,一転,仮処分の対象となったiOfficeV2.43を含めて,ネオジャパンのソフトはいずれも著作権侵害に当たらないことになった。東京地裁は,ビジネスソフトの画面表示にも著作権はあると認定したものの,著作権侵害はデッドコピーないしそれに準ずるものに限られるという立場をとった。

サイボウズの高須社長 さらに,東京地裁はサイボウズ OfficeとiOfficeV3に関して,両社のソフトの表示画面の共通点については,ソフトの機能に伴う当然の構成か,掲示板やシステム手帳,類似ソフトにおいて見られるありふれた構成と判断。著作権が生じる前提となる表現上の創作的特徴が共通するとは認められない,とした。

 判決後の記者会見で,サイボウズの高須賀宣社長(写真)は,「遺憾である。当社製品をデッドコピーした痕跡が残る製品の存在が許されることは残念でならない。これは当社だけでなくソフト業界全体にかかわる問題だ」と話す。同社は,今回の判決を不服として今月中にも控訴する方針。

 一方,今回の判決で勝ったネオジャパンは9月9日に,サイボウズとの訴訟についての記者会見を開く予定。

中村 建助=日経コンピュータ