鷹山の高取社長 通信事業者の鷹山(http://www.yozan.co.jp/)は8月26日,PHSインフラを使った無線LAN事業の展開計画について発表した。東京通信ネットワーク(TTNet)から8月1日付で譲り受けた首都圏のPHSサービス網「アステルサービス」の基地局を無線LANのアクセスポイントとして利用する。鷹山の高取 直(たかとり すなお)社長(写真)は,「首都圏10万カ所という圧倒的な基地局の数を生かして,電車のなかからでも無線LANを使えるようにする」と将来展望を語る。

 鷹山の無線LANサービスの名称は「Bit Stand」。802.11b規格を使い,通信速度は2Mビット/秒。鷹山は子会社のマジックメール(http://www.magicmail.co.jp/,10月1日付で鷹山と合併予定)を通じて9月末から12月の間,実験サービスを開始する。早稲田・高田馬場地区,池袋駅周辺など都内数カ所で実施する。試験サービスには1000人程度が参加する予定。

 商用サービス開始までのスケジュールや料金などはいっさい公表していない。高取社長は,「他の無線LAN事業者の動向を見据え,弊社はその半歩後れで進める」とだけ語る。要は「利益がでるビジネスモデルを他社に見つけてもらい,その後でPHSの巨大インフラを生かして一気に巻き返す」というシナリオを描いている。
 
 鷹山は1990年創業のベンチャー企業。当初は携帯電話向け半導体メーカーとして事業を展開した。1990年代末の携帯電話ブームに乗って,2000年9月には店頭市場(JASDAQ)に株式を上場している。その後,通信事業者への転身を図り,今年3月にはTTNetからPHS事業を譲り受けることで合意したほか,ADSL事業者のアッカ・ネットワークスにも出資した。

鈴木 孝知=日経コンピュータ